2005年05月01日

公害等調整委員会の裁定

 2002年6月26日、審議が始まって5年を経て「公調委 杉並病における不燃ごみ中継施設健康被害原因裁定申請事件」の裁定が下った。分かりやすく書くと次の通りである。

1.健康被害の原因は中継所から排出される化学物質であると裁定が下ったものの、操業当初の1996年4月から同8月までの5ヶ月についてのみである。

2.申請人18人のうち14名のみ、中継所から排出の化学物質による健康被害を認められた。

 東京都は、健康被害の原因は、中継所の排水の硫化水素によるものであると主張してきたが退けられた。中継所周辺の健康被害の原因が中継所の排気による化学物質と認められたことで、大気汚染の公害裁判としては、一歩前進といえるかもしれない。しかし、操業開始の1996年4月から8月までの5ヶ月に制限したことは、どうしても腑におちない。どうも、一番大きな理由は、健康被害の届出が、この期間に集中し、9月からは減少しているということらしい。

 中継所を取巻く条件は何も変わっていないのに、被害がなくなる理由はない。「報告しても何も対処してくれない。プライバシーを守りたい。体の異常に気がつかない。転入者は被害の事実すら知らない。そのうえ過敏な人は早い時期に発症した。だから時間の経過と共に、分からなくなり届けない」という図式だ。

 本当に被害は治まったのであろうか。発症者は治癒したのであろうか。大気からの化学物質が体に侵入することは、そんな生易しいものではない。転出しても尚、化学物質被害を引きずっている人を何人も知っている。長年研究されている専門の先生方の話に耳を傾けるべきだと思う。

 終わりに裁定委員会の意見を書きとめておきたい。

 「化学物質の数は2千数百万にも達し、その圧倒的多数の物質については、毒性をはじめとする特性は未知の状態にあるといわれている。このような状態のもとにおいて、健康被害が特定の化学物質によるものとの主張、立証を厳格に求めようとすれば、それは不可能を強いることになると言わざるを得ない。本裁定は、原因物質の特定が出来ないケースにおいても、因果関係を肯定することができる場合があるとしたものであるが、今後、化学物質の解明が進展しこれが被害の救済に繋がることを強く期待するものである。」