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地方議会の現状と制度の運用について

- 制度の有効活用による会議改革の可能性 -

野崎 孝男 


はじめに

 2000年4月に地方分権一括法が施行されてから6年が経過した。しかし、現実の地方公共団体(以下、「自治体」)の運営をみてみると地方分権一括法による改革の成果が十二分に発揮され、地方分権への流れが加速しているかといえば、国と地方六団体の主張が対立するなど 、残念ながらそうとはいいがたい。だが、個別の施策でみると「自治基本条例」や「まちづくり条例」など地域の特性に合わせた個性的な条例が誕生し始めるなど、自治体は着実に「自治」の模索を開始している。
 一方、地方議会を見てみると1998年5月に閣議決定された「地方分権推進計画」の中で「地方議会の活性化」 の項目が設けられ、地方分権一括法の中でも地方議会に関連する法改正が行われている。改正の変更点は、

  1. 議員定数の定め方
  2. 議案提出要件の緩和
  3. 修正動議の発議要件の緩和

の3項目であるが、地方議会の直面している課題を解決するには程遠い内容である。

 分権が進み行政機関が担う役割が大きくなるにつれ、地方議会の役割の一つである行政機関のチェック機能も大きくなるはずなのだが、2003年に行われた第15回統一地方選挙では過去最低の投票率を記録し 、その後も政務調査費の不明朗な支出などによる市民の政治不信の高まりから、「地方議会不要論」もささやかれるなど、地方議会に対する市民の目は依然として厳しさを増すばかりである。いうなれば、地方分権の進展は同時に地方議会の存在意義を問い直すこととなった。
 今年5月に第164国会で成立した地方自治法の一部を改正する法律(以下、「改正自治法」)では、議会運営や機能の充実に関する事項が盛り込まれ、

  1. 議長への臨時会の招集権の付与
  2. 専決処分の用件の明確化
  3. 議員の複数常任委員会への所属制限の廃止や委員会の議案提出権を認めることなどを盛り込んだ委員会制度の改革
  4. 学識経験者等の専門的知見を活用し、政策立案機能の強化を図ること

が規定されている。

 しかし、こうした国の法改正による制度的な改革により地方議会が活性化しているかは、2000年の分権改革により拡充された議会の権限が有効に生かされているかをみることで判断することができる。全国の地方議会の現状をみると、三重県議会や四日市市議会などで積極的な議員提出議案の活用を見ることもできるが全体としては一部の議会で有効な制度利用をみることができる程度であり、公聴会や参考人の利用状況をみると多くの地方議会では現在の制度すら有効に活用できていない 。
 本論文では、地方自治の時代に地方議会がその役割と職責を全うし市民の信頼を得られる議会になるために必要な事項を分析し提案することを目的として、議会制度の現状、東京23区および多摩地域の議会運営の比較、議会基本条例の制定など先進的な議会改革の取り組みを検証し、21世紀の地方議会のあり方について述べることとする。

本編目次

1 地方議会制度の現状
  (1)議会関連の法改正の流れ
  (2)議案の提出および審議
  (3)改正自治法による新たな規定
    1) 議長への臨時会の招集請求権の付与
    2) 専決処分の要件の明確化
    3) 委員会制度
    4) 専門的知見の活用
  (4)東京23区および多摩地域の議会運営の比較
    1)議会運営の決定過程
    2)本会議・委員会等の運営

2 地方議会活性化への取組み
  (1) 議会基本条例
  (2) 議会改革検討組織

まとめ

 

外部サイト 本編は『自治総研 2006年9月号(第335号)』に掲載されています

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