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2005年08月09日

地方議会の政策提案の実情 3

第三回 本会議・委員会等の運営
 
 地方議会の運営ルールを地方議会ごとに構築できることが明らかになったが、実際の地方議会の運営にはどのように反映されているのだろうか。地方議会の役割といえば予算・決算や条例などの審査である。そして審査を行うのは本会議もしくは常任・特別委員会(以下、「委員会」)であることから本会議や委員会の運営方法が議会の活性化には欠かせないものになる。だが、本会議は事前に準備した原稿を読むだけのセレモニーと化しているとの批判も多く、委員会についても同じような状況であるといえる。しかし、地方議会ごとの本会議や委員会の運営方法を比較してみるとその運営方法には大きな違いを見て取ることができる。
 
 そこで、本会議の運営方法を比較してみる。大半の地方議会の本会議では、一般質問は議員と首長とが対面せずに行われるいわゆる登壇式という形で行われ、質問に対する受け答えも質問者である議員が質問内容を一括して行い、それに首長等が一括して答えるという一括質問一括答弁方式が取られている。この一括質問一括答弁方式というのは、議員が質問内容を事前に通告し、首長側は事前に通告のあった質問に対し事前に答弁を用意できることから、議論に緊張感はなく、セレモニー化を助長する原因のひとつにもなっている。また、一括質問一括答弁方式では、問いに対する答えが直接結びつかないので、議員が質問した項目すべてを充分に理解することも難しいといえる。しかもその答弁に基づいて2回目、3回目の質問をすることは簡単ではない。ましてや傍聴している市民にとっては質問。答弁をとても充分に理解することはできない(加藤、2004:143)。との指摘もあり、行政機関をチェックする充分な議論が行える最善の仕組みということはできない。だが、この一括質問一括答弁方式というのは法律で決まっている制度ではない。東京の多摩地域の26市の質問方式を見てみると一括質問一括答弁方式が多いとはいえ日野市、国分寺市、清瀬市、武蔵村山市、稲城市、多摩市、西東京市の7市で一問一答方式の一般質問が行われている(小金井市議会、2003)。ひとつの問いに対し直ちに答える一問一答方式は傍聴者にもわかりやすく議論も活発になるため、地方議会の活性化には欠かせない質問方式であり議会独自の判断で実施できることから早急な導入が望まれる方式である。また、一問一答方式の導入については議員と首長が対面で行う方式になることから登壇式の質問方法を取っている議会では議場の改築コストがかかるという理由がまことしやかに言われることがあるが、武蔵野市、三鷹市、府中市、国分寺市、多摩市など多摩地域の26市中17市が最初の質問のみ登壇して行い二度目(再質問)の質問からは自席で行い対面方式としている議会もある(小金井市議会、2003)。このことから議場の改築コストが一問一答方式の導入の足かせになっているとはいうことはできない。

 次に本会議で問題となるのは議員の質問する機会についてである。地方議会の議員定数は自治体の規模により異なるため、議員定数が多い自治体では限られた会議時間を有効に活用するという名目で議員に質問回数の制限や質問時間の制限が申し合わせにより設けられていることが多くある。たとえば練馬区議会では本会議での一般質問は年度ごとに議員一人一回、25分と決められており、それ以上の質問をすることはできない。しかし、杉並区では定例会ごとに質問を行う事前通告さえ行えば議員は定例会ごとに自由に一般質問を行うことができ、時間制限もない。他の区や市の状況を見ても会派の人数により質問の持ち時間の大小はある議会が多いが、足立区のように会派ごとに与えられた質問時間内であれば人数制限を行っていないところや、多摩市のように会期中の質問者の人数によって質問の持ち時間が変わる議会もある。議員が本会議で質問をすることは議員の職務を果たすためには欠かせないものであることからも、議会日程を優先し議員の質問する機会を制限することは議会制民主主義そのものを否定しかねない深刻な問題である。

 次に委員会を見てみる。自治法では「議員は、それぞれ1箇の常任委員となる」(自治法109条2項)との定めがある。このことからすべての議員は必ず常任委員会に所属することになる。常任委員会では各常任委員会が所管する内容の議案や請願・陳情の実質的な審議が行われ、本会議と異なり議員と行政側が一問一答で議論を行うことから事実上の審議の場であるといえる。しかし、この委員会の運営にも大きな課題がある。委員会で実のある議論を行うためには委員会でどのような内容の議題が審議されるのかはもとより、議題に関する資料などがあらかじめ委員の手元に配布されていなければ、委員会当日に議題が示され審議をするといっても事前の調査や研究を行うことができないため専門的な実のある審議を行うのは無理がある。だが、実際の委員会運営では上記のような事柄が多々起きている。実際に東京23区でみると委員会の資料を事前に配布しているのは文京区や品川区など11区にとどまり、練馬区や江東区など12区は「議員からの要望がない」「事前に資料をすべてそろえるのは困難」等の理由で当日配布となっている。また、当日配布の11区を見てみても港区のように1週間前に配布するところもあれば、大田区のように請求があった議員にのみ前日に配布しているところもある。活発な議論を行うためには議題に対する事前の調査・研究が欠かせないことから資料の事前配布を行うことは必要不可欠である。一方で開かれた議会という意味では市民が傍聴しやすい環境を作ることも不可欠である。しかし、委員会の傍聴者に対し議論している議題の資料の閲覧もしくは配布を認めている議会は23区中千代田区や文京区など5区にとどまり議題のみを閲覧もしくは配布しているのは11区で7区は傍聴者には一切の情報を提示していない。情報公開の観点からも傍聴者に資料の閲覧を認めることは直ちに行うべきであり、議会の透明性と説明責任という点からも早急に実現するべきである。いずれにしても地方議会の運営ルールは議会自らが構築できることから活性化しない理由は制度に問題があるのではなく議会の姿勢によるところが大きいといえる。

投稿者 takao : この記事へのご意見 (0) : トラックバック (0) : 地方分権

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