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2005年08月05日

地方議会の政策提案の実情 2

第二回 議案の審議状況と議員提出による条例案などの実情

議案提出要件が緩和され実際に地方議会は活性化されているのだろうか。全国市議会議長会が全国702市(23区含む)を対象に行った「市議会の活動に関する実態調査結果(調査期間、平成15年1月1日~12月31日)」を見ると市長提出による議案件数73,732件に対し、議員提出による議案の総数は11,087件で議案総数の86.9%が市長提出によるもので、議員提出の議案はわずか13.0%に留まっている。そして、議員提出による議案の内容の内訳は条例案が1012件、規則案が82件、意見書案が7212件、決議案が676件、その他が2105件となっており、直接当該自治体の行政運営に影響を与えない意見書の割合が高いことや、議会運営に関係する条例案など政策的対立を招きにくい内容のものが多いことが特徴的に現れている(全国市議会議長会、2005)。

次に議案の議決結果を見ると、市長提出による議案の議決結果は、原案可決が72,940件と市長提出の議案の98.9%を占め、修正可決は149件、否決は202件、継続審査が247件、審議未了が115件、撤回が79件となっている。議案の修正可決や否決が少ないことについては市長の行政運営が安定していると肯定的に捉えることもできるが、全議案に占める修正可決の割合が0.2%という結果を見ると議案の審査という議会の役割が十分に機能しているとは言いがたい(全国市議会議長会、2005)。
一方、議員提出による議案の議決結果は原案可決が9496件と提出議案総数の85.6%を占め、修正可決が15件、否決が1288件、継続審査が49件、審議未了・撤回。議決不要等が239件となっている。否決の割合が11.6%と市長提出議案の0.2%に比べ高いのは、議会の議員構成が多様化しているため、政治的対立の影響を受けやすいことが原因の一つとして考えられるが、議員提出議案のうち、「条例案」が1,012件と議員提出議案の1割にも達していないことから、議員個人または会派の法務能力の欠如はもとより、議会事務局の法務体制の欠如など議員が条例を提出するための十分な環境の整備がなされていないことも浮き彫りになっている(全国市議会議長会、2005)。

しかし、条例案の数が多ければ議会が活性化しているとはいえない。大切なのは条例案の中身である。実際に提出された条例案を見てみると議員定数や議員報酬、政務調査費、資産公開など議会や議員の身分に直接関わる条例案がほとんどであり、しかもそれらの条例案は議会事務局が立法過程のほとんどを行い、議員自らが立法することは極めて稀な趣旨の条例案である。全国市議会議長会の調査でも平成15年中に提出された議員提出による新規の政策的条例案はわずか64市80件とされている。だが、議員提出による新規の政策的条例案を見てみると「札幌市立小学校及び中学校の学級編成の基本に関する条例」「品川区区民参加条例」「戸田市みんなでつくる犯罪のない町条例」「裾野市議会の議決すべき事件以外の契約の透明性を高めるための条例」「東大阪市中小企業産業振興条例」など、ほとんどが否決されているとはいえ、議員提出による政策的条例案には地域の実情や政策課題の解決に向け議員自らが創意工夫を凝らし自治体のルールつくりをしようという姿勢が明確に条例案の中身から読み取ることができる(全国市議会議長会、2005)。

ここまで地方議会を活性化するために行われてきた国の制度改正や実際の地方議会での議員による議案提出の実情を見てきたが、地方議会の活性化を目指し行われてきた国の制度改正の効果が地方議会に現れているとはいえない。また、地方議員の政策立案能力を高めることを目的に制度化された「政務調査費」については、制度設計こそ各地方議会にゆだねられているものの、その使途を巡り全国で住民訴訟が相次ぎ提起されるなど議員の政策能力の向上という目的とは裏腹に住民の地方議会不信を招く結果となっている。しかし、「政務調査費」のように各地方議会が自ら制度設計を行えることは議会運営に関しても数多くある。現在の制度の中でどのような議会運営の制度設計をしていくかが各地方議会に問われているといえる。

投稿者 takao : この記事へのご意見 (0) : トラックバック (0) : 地方分権

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