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2006年05月12日
高尾山学園の取り組み
八王子市にある高尾山学園は、八王子市が独自で設置した不登校児童・生徒のための公立学校です。
公立学校で特別なカリキュラムを行うことは数年前までは文部科学省が定める学習指導要領の実施が公立学校の要件だったために困難でした。そのような状況の中で、八王子市では市内のこどものうち600人が不登校という状況を鑑み、構造改革特区を利用した教育課程の弾力化を目指し、特区として認定され高尾山学園が実現しています(学校運営については高尾山学園ホームページをご覧ください。また現在では規制緩和が進み特区認定がなくても教育課程の弾力化は可能となっています)。
では、高尾山学園の体制を見ると通常の教職員配置にプラスしてひとりの教員が加配されていること以外に、4日勤務2人、3日勤務1人、1日勤務1人のカウンセラー、児童厚生員2人、嘱託教員2名、講師や指導補助者が13名になっています。ここで注目しなければならないのは1日勤務を除いたカウンセラーや児童厚生員、講師や指導補助者にかかる予算は八王子市の独自予算で行われていることです。実際の16年度の予算では通常の学校にかかる経費以外に高尾山学園のために計上されている額はおよそ4000万円となります。
そのような充実した体制もあり、実際の学校活動では生徒3~4人に対し先生(講師等含む)が1人というきめ細かな教育環境となっています。そして、18年度の在校生の人数を見ると93名であり、八王子市の不登校児童がおよそ600人いたことから約17%の子どもたちが通える学校ができたと考えられます。もちろん実際の出席率というのも見なければならないのですが、17年度平均で65.3%と学校の趣旨を鑑みれば高い出席率となっています。また、不登校児童の600人うちの93人といっても、この600人の不登校の理由は非行からメンタルの問題まで背景は多種多様でありそのことから鑑みても高尾山学園の果たしている役割というのは大きなものだといえます。
一方で高尾山学園は不登校になってしまっていたけれど学校に通える子どもたちにとっては貴重な教育の現場として機能していますが、家から出ること自体が困難な不登校児童いわゆる引きこもりの子どもも多くいます。そのことから八王子市では別に登校支援を目的とした機関を設置し対応していると同時に、高尾山学園を1人でも多くの人に正確に知ってもらうための広報も積極的に行っています。ここでなぜ「正確に」という言葉をなぜつけたかというと、不登校の児童のための学校としてだけ認知されてしまうと、高尾山学園は特殊な学校だと思われ敬遠されてしまう可能性も多々あるからです。そのことから、高尾山学園の教育課程をひとつの特色として知ってもらう必要があり、そのために義務教育年齢の子どもをもつ家庭には全戸に案内を配布(3万枚)しています。ここでも全戸配布という手法の背景には案内を配布された家庭が特別な事情がある子どもをもっている家庭と誤解されないようにという工夫によるものでもあります。
しかし、実際に学校生活を見てきて感じたことは確かに高尾山学園のような学校は必要だと思います。そして多額の予算について成果はどうなんだという議論も八王子市ではあるようですが、子どもの教育を受ける権利を保障するという点で見ればそれほど多額な費用とは見れないとも思います。ですが、ある児童の言葉で「学校は大好きだけど、ここの生活に慣れきってしまってはいけない。これから頑張ります」という言葉はとても重く感じたところです。それは、あまりの手厚さゆえにこの学校以外での生活ができなくなってしまうのではないかという不安なのではないかと思うのですが、これは不登校の児童が通う施設などでも良く聞く言葉です。そのことから、家から出て学校に通えるようになったあとどのように歩んでいけるようになるのかということも視野に入れた活動が必要なのではないかとも思うのですが、これは学校や行政という中だけで解決できることではなく社会全体で解決していかねばならない重い課題なのだと思うのです。
ですが、八王子市が市の創意工夫と独自の予算でこうした教育環境を整備したことは自治体としては先進的な取り組みであることは間違いありません。特色ある学校というのが昨今の公教育での流行になっていますが、確かに学業や運動に特色を出すことも必要なことです。ですが、学校に行きたいけど行けない子どもたちが通えるような学校もひとつの特色ある学校として広く認められるよう、行政が積極的に取り組んでいくことも公教育を考える上では欠かせないことであるはずです。
今回取材に協力していただいた学校関係者や行政の方々、そして高尾山学園の子どもたちにはこの場をお借りして御礼申し上げます。
投稿者 takao
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